
看護師ママが“本当に知ってほしい”安心ポイント
離乳食を始めたばかりの頃、多くのママ・パパがぶつかる悩みがあります。
それが、
「せっかく作ったのに、口からべーっと全部出される」
「食べさせた瞬間に嘔吐してしまって不安…」
というもの。
実はこれ、珍しいことではありません。
そして、ほとんどの場合は“心配いらないサイン” です。
ただ、吐く・出すという行動にはいくつかの原因があり、対応を誤ると赤ちゃんが「食べること=イヤな時間」と感じてしまうこともあります。
この記事では、
- 発達的に自然な“べーっ”と危険な“吐く”の違い
- 家でできる対処法
- すぐ受診した方がいいケース
- ママ・パパの心がラクになる見方
を、保育園看護師・そして離乳食に悩んだ一人の母として、やさしく分かりやすくまとめました。
まいこ@保育園看護師ままどうか、一つひとつ読みながら「うちの子はどうかな?」と照らし合わせてみてくださいね。
1. 「べーっと出す」にはちゃんと理由がある


① 食材の“舌ざわり”がまだ苦手
赤ちゃんは、舌で食べ物を前に押し出す反射(舌挺出反射)が生後しばらく残っています。
離乳食を始めて間もない時期は、これが完全に抜けきっていないこともよくあります。
- ぷーっと口から出す
- 舌で押し戻す
- 上手に飲み込めない
こんなときは、
- まだその食感に慣れていない
- 飲み込みの動きが発達途中
- そもそも今は気分じゃない
そんな自然な理由によるものがほとんどです。
② 初めての味や食材が「びっくりした」だけ
赤ちゃんは味に慎重です。
初めての食材は、大人でいう「初めての外国料理」みたいなもの。
“べーっ=嫌い” ではなく
“べーっ=これは何?確認中” のことが多いです。
③ 量がほんの少し多かった
赤ちゃんの口は小さいため、大人にとって“ひと口サイズ”でも、本人には大きすぎることがあります。
吸う力はあっても、飲み込む力はまだ発展途中。



「べーっ」は、赤ちゃんが自分を守っている安全サインとも言えます。
2. 「吐く」場合は少し見極めが必要


赤ちゃんの「吐く」にはいくつかタイプがあり、原因によって対応が変わります。
ここでは判断しやすいように、3つのパターンに分けて整理します。
① 口に入れた直後に吐く
食感や温度など、刺激が強かったサイン
赤ちゃんがびっくりして反射的に吐き戻すパターンです。
考えられる原因
- 繊維が多い、舌ざわりが残る
- 野菜の形が少し残っている
- 冷たすぎる・熱すぎる
- その時期の発達に合っていない固さ
大人が「えっ?」と思うくらいスムーズに戻すこともありますが、これは防御反射として自然な反応です。
② 食後しばらくしてから大量に吐く
ミルクの飲みすぎ・生活リズムの影響
離乳食そのものより、直前のミルク量や体の状態に左右されることが多いタイプです。
よくある要因
- 授乳からの時間が短く、まだお腹がいっぱい
- 眠たい・寝起きで体が整っていない
- お腹が張っている
- 便秘気味で苦しい
「食べ物が悪かった」というより、消化の体制が整っていなかっただけというケースがほとんどです。
③ 何度も繰り返す嘔吐
体調変化のサイン。受診の目安
数回続く、勢いのある嘔吐は、食事以外の原因を疑います。
一緒にみられやすい症状
- 水のような下痢
- 機嫌が悪い、いつもより元気がない
- 発熱
- ぐったりしている
- 水分がとれない、尿が極端に少ない
胃腸炎などの感染症のこともあります。



「少し心配だな」と感じた時点で、小児科へ相談して大丈夫です。
3. 原因別「おうちでできる対応」


A. 発達がゆっくり進んでいるときの “べーっ”
赤ちゃんの口の動きや飲み込みの力は、一人ひとりペースが違います。
“べーっ”と出してしまうのは、まだその食材や食感に慣れていないだけのことが多いです。
対応のポイント
- もう一度、なめらかな 10 倍がゆに戻す
- とろみを足して飲み込みやすくする
- 量は小さじ 1 をさらに数回に分けてゆっくり進める
「せっかく進んだのに戻るなんて…」と感じるかもしれませんが、
離乳食は“行ったり来たりしながら進む道”です。
一歩下がったように見えても、
赤ちゃんにとっては「ちゃんと自分のペースを伝えているサイン」。
安心して合わせてあげて大丈夫です。
B. 生活リズムによる “吐く・出す”
体調やタイミングによって、赤ちゃんは食べる余裕がなくなることがあります。
生活リズムが少しずれるだけでも、食べ方が変わるのはよくあることです。
対応のポイント
- 昼寝前や寝起きは避ける
- 授乳間隔を少しあけて、お腹にスペースを作る
- 便秘があると食欲が落ちやすいので、湯冷まし・足の運動・軽いマッサージでサポート



「今日はコンディションが整わなかっただけ」と思えると、気持ちもぐっと楽になります。
C. 食材や味の影響による “べーっ”
食材の形や温度、香りの違いは、赤ちゃんにとって大きな刺激です。
ほんの少しの調理の工夫で、口に運びやすさが変わります。
対応のポイント
- 温かくして香りを引き立たせる
- 裏ごしを丁寧にして舌触りを滑らかに
- 水分を少し足して飲み込みやすく



食べ方が変わるのは珍しいことではなく、「今日はこの食感が苦手だったんだな」と受け止めてあげるだけで十分です。
D. 心理的な理由の “べーっ・吐く”
赤ちゃんは「楽しい」「安心できる」の感覚がとても敏感です。
気持ちが落ち着いていないと、口の動きも自然と止まります。
対応のポイント
- 初めての場所では落ち着かないことがある
家でも、いつもと違う部屋だと食べないことはよくあります。 - “食べさせられる”と感じると後ずさりしてしまう
スプーンは静かに、赤ちゃんの口元へそっと → 嫌がったらすぐ中断してOK
食べる力は、安心感の上に育ちます。



無理をしないことは、成長を止めるどころか、むしろ次の一歩につながります。
4. 「やらなくていいこと」を先に知っておく


赤ちゃんが吐いたり、べーっとしたりすると、心臓がドキっとしますよね。
「どうしたらいいの?」と不安になるのは、とても自然なことです。
でも実は、“やらなくていいこと”を知っておくほうが、ママの心を守ってくれます。
① 無理に口へ入れようとしなくて大丈夫
嫌がっている時に食べさせようとすると、赤ちゃんはますます「イヤ!」の気持ちが強くなってしまいます。
拒否した時点で、そっとおしまいでOK。
その判断が、赤ちゃんの安心感につながります。



離乳食は「栄養をとらせる」よりも、“食べるって楽しいかも”を育てる時間 だから大丈夫です。
② 完食を目指さなくていい
昨日たくさん食べたのに、今日はひと口で終了。
そんな日があっても、本当に普通のことです。
“完食=成功”ではありません。
- 椅子に座れた
- スプーンに手を伸ばした
- 食材を見てニコッとした



これだけで、しっかり前に進んでいます。
③ “食べない=育っていない”と考えなくていい
離乳食が進まない日が続いても、ミルクや母乳で必要な栄養はちゃんと取れています。
食べるペースは、赤ちゃんの個性そのもの。



焦らなくても、ちゃんとその子の成長につながっています。
5. 今日からできる「べーっと出す日・吐く日の過ごし方」


① 食事時間は10分以内で区切る
長引かせると赤ちゃんもママも疲れてしまいます。
短く切り上げると、翌日またチャレンジしやすくなります。
② 小さな成功に目を向ける
- 今日はスプーンを見てニコッとした
- ひと口なめられた
- 椅子に座れた
どれも立派なステップです。
③ 食べない日は“潔く引く”
赤ちゃんには大人にも“今日は食べない日”があります。
そんな日は、無理に頑張らずにミルクや母乳でフォローして大丈夫。



ママ・パパが穏やかでいることが、食べる力のいちばんの応援になります。
6. こんなときは受診を
以下に当てはまる場合は小児科に相談しましょう。
- 何度も繰り返し吐く
- 機嫌が悪くぐったり
- 発熱をともなう
- 水分も飲めない様子
- 目がくぼむ、尿が少ない(脱水のサイン)



迷ったときには、かかりつけ医に相談しましょう。
7. ママ・パパへのメッセージ


赤ちゃんが吐いたり、べーっと出すと、
「私の作り方が悪かった?」
「嫌われてしまったのかな…」
そんなふうに不安になることもありますよね。
でも、どの子にもある“成長の途中のサイン”なんです。
“食べる力”は、“安心できる環境”の中でゆっくり育つもの。
ママ・パパが優しく見守ってくれていることが、なによりの応援になります。
今日がうまくいかなくても、明日はまた違う日。



焦らず、肩の力を抜いて、一緒に進んでいきましょうね。














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