離乳食を食べないときの対処法|原因別チェックリスト【看護師ママが解説】

目次

はじめに

「せっかく作ったのに全然食べない」「昨日は食べてくれたのに、今日は一口も進まない」。

離乳食の悩みの中でも、最も多いのが “食べない” というお悩みです。

看護師として子どもの栄養指導に携わり、母として離乳食を毎日経験してきた立場からお伝えすると、

離乳食を食べないのは珍しいことではなく、原因と対策さえ知っていれば必ず乗り越えられます。

ここでは、赤ちゃんが離乳食を食べないときに考えられる原因を分かりやすく整理し、

今日からできる対処法をまとめました。

まずは、ママやパパが「食べない=失敗」と捉えないことが大切です。

うまくいかない日があるのは自然なこと。

その背景には赤ちゃんなりの理由が必ずあります。

1. まず確認したい「食べない理由」

離乳食を食べないときは、原因を大きく5つに分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 発達・食べる力の問題
  2. 体調や生活リズムの乱れ
  3. 食感・味・温度の違和感
  4. 量・タイミングが合っていない
  5. 環境・ママの声かけや雰囲気

一つずつ詳しく見ていきます。

1. 発達による“食べない”

離乳食は月齢に沿って段階がありますが、あくまで目安。

赤ちゃんによって「食べる力」の発達に個人差があります。

特徴

  • 口を開けてくれない
  • ベーっと舌で押し出す
  • なんでも手で触りたがる(食べないけど興味はある)
  • 食事への集中が短い

舌の動かし方、噛む力、飲み込む力は段階的に発達します。

まいこ@保育園看護師まま

食べないのは「できないだけ」のことも多く、無理に食べさせなくても大丈夫です。

対処法

  • ひとつ前の段階の食感に戻してみる
  • 小さじ1〜2のごく少量から再スタート
  • 食べるより“触れる・舐める”をゴールにする日があってOK

2. 体調・生活リズムの乱れ

赤ちゃんは、ほんの少しの体調不調でも食が落ちます。

よくある理由

  • 便秘
  • 鼻づまり
  • 歯ぐずり(歯が生える時期)
  • 午前の昼寝をしていない
  • 前の授乳やミルクの量が多い

鼻が詰まると呼吸しづらく、口を閉じて食べられません。

歯が生える時期も、歯茎がむずむずして食べるどころではない日があります。

対処法

  • 1〜2日食べなくても、水分が取れて機嫌が良ければ問題なし
  • 眠い時間・ぐずる時間は避ける
  • 前の授乳量を少しだけ調整してみる
  • 便秘気味なら、温めた飲み物や水分を少し増やす

3. 食感・味・温度の違和感

離乳食を食べない原因でとても多いものです。

ありがちな例

  • 中期に進んだが、粒が大きすぎた
  • 味が薄すぎる、または濃すぎる
  • 冷たすぎる/熱すぎる
  • 毎回同じ味で飽きてしまう

対処法

  • ひとつ前の食感に戻す(中期→初期など)
  • ほんの少し出汁を足す
  • 温度は“人肌より少し温かい程度”が食べやすい
  • 同じ食材でも調理法を変える(ゆでる→蒸す→焼く)

離乳食は“完璧に作らなければならないもの”ではありません。

まいこ@保育園看護師まま

大人が食べてもおいしいと思える程度の味付け(塩ではなく出汁や素材の風味)が、むしろ赤ちゃんには食べやすいこともあります。

4. 量・タイミングが合っていない

食べる量には非常に個人差があります。

推奨量はあくまで目安で、実際には半分程度でも十分な子もいます。

よくある状況

  • お腹が空いていない
  • 逆に、空腹すぎて泣いてしまう
  • 眠いタイミングを避けていない
  • 午後に出そうとして毎回機嫌が悪い

対処法

  • “良い日だけ量を増やす”のはNG。むしろ波をならすと食べるようになる
  • 午前中の機嫌が良い時間に固定する
  • 10〜15分で切り上げる(長引くほど食べなくなる)
  • 一度食べなかったら、潔く終了してOK
まいこ@保育園看護師まま

無理に食べさせようとするほど、赤ちゃんは食事が嫌なものになっていきます。

5. 環境・声かけ・雰囲気

赤ちゃんは、食事の雰囲気をとても敏感に感じ取ります。

こんなことはありませんか?

  • 「食べてくれないと困る」と焦る気持ちが態度に出てしまう
  • 大人がそばでずっと見つめていて緊張している
  • テレビやおもちゃが気になって集中できない
  • 食べた瞬間、大人が必要以上に反応してしまう

対処法

  • できるだけ家族と一緒に食卓に座る
  • 食べても食べなくても淡々とした声かけを
  • 一口でも食べたら軽く褒める
  • 食事の時間は10〜15分で終える
  • 遊び食べは“発達のひとつ”として受け止める
まいこ@保育園看護師まま

赤ちゃんにとって、「食事=楽しい」という経験が積み重なることが大切になります。

2. 原因別チェックリスト

離乳食を食べない理由はひとつではなく、発達・生活リズム・食材・心理的要因など複数が重なっていることが多いです。

ここでは、それぞれの原因ごとに「見極めポイント」と「今日からできる対応」を分かりやすくまとめてみました。

A. 発達が追いついていない

離乳食の進み方には個人差がとても大きく、「月齢=食べられる量・食感」ではありません。

特に以下の様子がある場合は、まだ飲み込む力や咀嚼の準備が不十分なだけのことが多いです。

よく見られるサイン

  • 口をなかなか開けない
  • 食べ物を舌で押し出す
  • 固形に近いものを嫌がる、舌触りの変化に敏感
  • 一口目で「うぇっ」となる

これらは「嫌い」や「食べたくない」というより、

“今はまだ難しい”という体からのサインととらえて大丈夫です。

対応のポイント

  • 食感を一段階戻す(ドロドロ→なめらか/なめらか→少し粒)
    食べられるレベルに調整するとスムーズに進むことが多いです。
  • 量を減らしてみる
    ひとさじから。成功体験を増やす方が長期的に良いです。
  • 同じ食材でも形状を変える
    例:にんじんをペーストに戻す・水分を増やすなど。
  • 無理に口に入れない
    発達的に準備が整えば必ず前に進みます。

発達が追いついていない場合、焦って進めると“食べること=イヤな時間”になってしまいます。

まいこ@保育園看護師まま

「今は練習期だからうまくいかなくて当然」と思っていて大丈夫です。

B. 生活リズムの影響

赤ちゃんは、大人よりも「空腹・眠気・体調」に左右されやすく、

その日のリズムがほんの少しずれるだけで食べない日が出てきます。

よく見られる場面

  • 昼寝の直前、または起きてすぐで機嫌が安定しない
  • 授乳間隔が短く、お腹がすでに満たされている
  • 便秘でお腹が張っている
  • 外出などでリズムが乱れた日
まいこ@保育園看護師まま

ちょっとした変化でも、赤ちゃんにとっては大きな負担になることがあります。

対応のポイント

  • 授乳と離乳食の間隔を2〜3時間あける
    ミルクや母乳が近いと、お腹が空かないことが多いです。
  • 昼寝前後の「機嫌が整う時間」に合わせる
    無理に時間通りに食べさせる必要はありません。
  • 便秘がある場合は体調優先
    水分の調整、整えるメニュー(さつまいも・りんご煮など)を活用。
  • その日は“味見程度”でもよいと割り切る
    食べない日があっても成長には影響しません。

便秘や眠気がある日は、医療現場でも「今日は無理させないで大丈夫」とよくお伝えしています。

まいこ@保育園看護師まま

生活リズムは“点”ではなく“線”でとらえてくださいね。

C. 食材・味・調理法の問題

大人から見ると何でもない食材でも、赤ちゃんにとっては

「繊維が多い」「味に飽きる」「冷たすぎる・熱すぎる」など、ちょっとの違いが拒否につながります。

よく見られるサイン

  • 同じメニューが続くと急に食べなくなる
  • 食材の繊維を舌で取り除こうとする
  • ひんやりした状態だと顔をそむける
  • 新しい食材を警戒する

赤ちゃんは“食感へのこだわり”が強く出る時期があり、これも発達の一つです。

対応のポイント

  • 味・食材に変化をつける
    だし・野菜スープ・豆腐・魚など、優しい旨味は受け入れやすいです。
  • 温度を調整する(体温〜ぬるめがベスト)
    温度の違いだけで食べるようになることも。
  • 繊維の多い食材は“とろみ”で調整
    玉ねぎ・にんじん・ほうれん草などは刻みを細かく。
  • 見た目や器を変えるだけで食べることも
    心理的なスイッチとして有効です。

何より大切なのは「嫌いと決めつけない」こと。

単に“その日の気分”や“調理の微妙な差”が原因のことが本当に多いです。

D. 機嫌や心理的要因

赤ちゃんは「食べる量」よりも、「誰と・どんな雰囲気で」食べるかを敏感に感じ取ります。

心理的な安心感が満たされないと、どんなにお腹が空いていても食べないことがあります。

よく見られるサイン

  • 初めての場所や音の刺激で落ち着かない
  • 食べさせられる(口に入れられる)のを嫌がる
  • 親が焦っていると視線をそらす
  • 気分が乗らずスプーンを払いのける
まいこ@保育園看護師まま

責める必要はまったくなく、赤ちゃんの“安心したい気持ち”が大きくなっているサインです。

対応のポイント

  • 食事環境をシンプルに整える(刺激を減らす)
    TV・スマホ・おもちゃをOFFにして落ち着いた空間に。
  • 食べるペースを赤ちゃんに合わせる
    無理に口元へ運ばず、目線を合わせて待つ。
  • 「自分でやりたい」を尊重する
    手づかみを取り入れると食べる意欲が出やすくなります。
  • 親も深呼吸してリラックスする
    親の雰囲気は赤ちゃんにそのまま伝わります。

食べない日は誰にでもあります。

まいこ@保育園看護師まま

“練習だから少量でいい”と考えると、赤ちゃんもママも気持ちがすっと軽くなります。

3. 離乳食を食べないときに「無理してやらなくていいこと」

離乳食が進まない日が続くと、

「どうにかして食べさせなきゃ」と思ってしまうのは、どのママも同じです。

でも実は、やらない方がうまくいくこともたくさんあります。

ここでは、安心してほしいポイントをやさしくまとめました。

1. 無理に口へ運ぶこと

食べなくても口をぎゅっと閉じても、

それは赤ちゃんが「今は難しいよ」「ちょっと待ってね」と伝えているサインです。

無理にスプーンを押し込んでしまうと

・誤嚥(気管に入る危険)

・食事の時間が“イヤな記憶”になる

ことにつながる可能性があります。

やさしい対応のヒント

  • 赤ちゃんが「食べる姿勢」や「表情」でOKを出した時だけ口元へ
  • スプーンを見せて、赤ちゃんが前のめりになったら一口
  • その日は“味見だけ”でも十分
まいこ@保育園看護師まま

「食べたい気持ち」を待ってあげる方が、結果的に進みが早くなります。

2. 完食をゴールにしようと頑張りすぎること

完食してくれないと「足りていないのでは?」と心配になりますよね。

ですが、離乳食期の赤ちゃんは 大人と同じように“食欲の波”があって当然 です。

今日はひと口、翌日はゼロでも全く問題ありません。

“食べた量”よりも、

「食べる練習ができたか」「楽しく座れたか」 のほうがずっと大事です。

気持ちが少し軽くなる考え方

  • 完食を目標にしなくて大丈夫
  • 少量でも“できたこと”に目を向ける
  • 今日は食べない日、と割り切るのも大切

食べる量は、赤ちゃん自身がちゃんと調整しています。

ママが毎日頑張ってきた証拠なので、どうか自信を持ってくださいね。

3. 「食べない=育っていない」と思い込むこと

離乳食が進まない時期があると、

「このままでは成長に影響が出るのでは…」と不安になるかもしれません。

でも、離乳食期の栄養の中心は 母乳・ミルクがしっかり担っています

離乳食はあくまで、“食べ物に慣れる練習”。

練習がうまくいかない日があっても、赤ちゃんの成長には影響しません。

専門的な安心ポイント

  • 1歳頃までは「ミルク・母乳>離乳食」が基本
  • 成長曲線がゆるやかでも“同じカーブを描いていれば”問題なし
  • 医療の現場でも「進み方に個人差は普通」と必ず説明します
まいこ@保育園看護師まま

ママが「大丈夫」と思えることが、赤ちゃんにとっても一番の安心につながります。

4. 今日からできる「食べない日」の過ごし方

乳食が進まない日は、ママの気持ちが揺れやすいものです。

「どうして食べてくれないの?」と不安になったり、

「せっかく作ったのに…」と落ち込んでしまうこともありますよね。

でも、食べない日こそ “力を抜いていい日” です。

赤ちゃんもママも楽に過ごせるコツをまとめました。

1. 食事は「10分で終える」くらいでちょうどいい

離乳食を長く引っ張ってしまうと、

赤ちゃんも大人も疲れてしまい、気持ちに余裕がなくなってしまいます。

離乳食期の赤ちゃんの集中力は 5〜10分程度が限界

その日食べないなら、10分でいったん切り上げてもOKです。

なぜ短くていいの?

  • 長引くと「食事=しんどい時間」と記憶されてしまう
  • 短い方が、赤ちゃんが「また食べたい」気持ちを保ちやすい
  • ママのストレスも軽くなる

「今日は味見の日」くらいの感覚で大丈夫。

続けるより、いったん切る方が、結果的に食べる意欲につながります。

2. 小さな目標を設定して、できたことを一緒に喜ぶ

離乳食は“量”よりも できたステップの積み重ね がとても大切です。

例えば――

  • 今日は椅子に座っていられた
  • スプーンを触れた
  • 一口だけ興味を示した
  • 食材を舐めてみた

これらは立派な成長で、次のステップにつながっています。

小さな成功が大きな自信に

赤ちゃんにとって「食べる力」はゆっくり育つもの。

ママが“できたこと”に目を向けてあげることで、

赤ちゃんは安心し、食べる意欲も少しずつ育っていきます。

小さな成功を積み重ねる方が長い目で見ると確実に進みます。

3. 食べない日は潔く「今日はそういう日」と引く

赤ちゃんが食べない時に、

親が頑張れば頑張るほど、赤ちゃんは体を固くしてしまいます。

離乳食期には、どうしても“食べない日”があります。

それは異常ではなく、むしろ自然な波です。

心が楽になる考え方

  • 食べない日は「今日は練習お休みの日」
  • 食べる気分じゃない時は、大人だってある
  • 食べなくてもミルクや母乳がしっかり栄養を補ってくれる

潔く引くことは“諦める”のではなく、

赤ちゃんのペースを尊重する大切な対応です。

翌日、何事もなかったかのように食べる赤ちゃんもたくさんいます。

だからこそ、食べない日は“軽やかに流す”くらいがちょうどいいのです。

5. 受診したほうがいいケース

基本的に“食べない”だけで病的なことはほとんどありませんが、以下は例外です。

  • 水分もほとんど取らない
  • 便が極端に出ていない
  • 高熱・ぐったり
  • 体重が数ヶ月にわたり増えない
  • 食べると毎回むせる・えづく
まいこ@保育園看護師まま

気になるときは、小児科や健診で相談してみましょう。

6. ママへのメッセージ

毎日離乳食を準備して、それでも食べてくれない日が続くと、

「私のやり方が悪いのかな」

「がんばっているのに報われない」

そんな風に感じてしまうことがあります。

でも、離乳食が進まないのは、あなたのせいではありません。

赤ちゃんが、“今は食べる準備が整っていないだけ” です。

大切なのは、うまくいかない日があっても、親子で心地よい食事の時間を積み重ねていくこと。

その積み重ねが、赤ちゃんの「食べる力」につながっていきます。

まいこ@保育園看護師まま

完璧な離乳食よりも、あたたかく見守る気持ちが、赤ちゃんにとっては一番の安心です。

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