子どものケガ、どう対応すればいい?

保育園で働いていると、子どもたちが毎日元気に走り回る姿に元気をもらう一方で、「あっ!」とヒヤッとする場面も多々あります。
特に多いのが、小さなケガ。
すり傷やたんこぶ、指をはさむなど、日常的に起こるケガにどう対応すればよいか、悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、保育園でよくあるケガと、現場で実際に行っている応急処置の方法、家庭で気をつけたいポイントなどをわかりやすくお伝えします。

保護者の方にも知っていただけたら、きっと安心につながるはずです。
保育園で多い子どものケガ
1. 転倒によるすり傷・切り傷
もっとも多いのが、転んだ際にできる膝や肘のすり傷、時には石や遊具で切ってしまう小さな切り傷です。
「泣くほどじゃないけれど、出血していて心配」というケースがよくあります。


2. 頭をぶつけた(打撲・たんこぶ)
滑って転んだり、友達とぶつかったりして「ゴンッ!」と音を立てて頭をぶつける場面もよくあります。
たんこぶができたり、赤く腫れたりしますが、外傷がない場合は経過観察をします。


3. 指をはさんだ・つめをケガした
ドアや引き出しに指をはさんでしまう事故も少なくありません。
一瞬のことで泣き声が響きますが、出血の有無や腫れ、動かせるかどうかがポイントです。


4. 歯や口の中のケガ
転倒時に顔をぶつけ、口の中を切って出血することもあります。
口の中は血が出やすい場所なので、見た目以上に驚く保護者も多いです。


※歯がぐらぐらしている場合や、折れた疑いがある場合は歯科受診をすすめます。
5. 目に異物(砂や小さなゴミ)が入る
園庭で遊んでいて風で砂が舞い、目に入ることも。
涙が止まらなかったり、目をこする仕草が続く場合は注意が必要です。


ケガをしたときの初期対応(応急処置の基本)
基本の流れ:落ち着いて、確認、処置、観察


止血・消毒の基本は「消毒しない」方向へ
以前は、ケガをしたらすぐに「消毒してから絆創膏を貼る」というのが一般的でした。
しかし近年は、医学的な見地から「消毒液を使わず、清潔な水でしっかり洗う」という処置が推奨されるようになっています。
なぜ消毒しないの?
消毒薬(オキシドール、イソジンなど)は、細菌だけでなく、傷を治すために必要な“自分の細胞”も壊してしまうため、治りが遅くなったり、痛みを強く感じたりすることがあるのです。
現在の基本的な処置の流れ


▶ 傷の程度によって、保湿ケアや被覆材の使用は異なります。
▶ 傷が深い場合や異物が取れない場合は、早めの受診が安心です。
冷やすべき?温めるべき?


保育園でのケガ予防の取り組み
ケガはゼロにはできませんが、予防はできます。保育園では以下のような工夫をしています。
年齢に応じた遊具や遊びの提供
子どもの発達に合った環境を整えることで、無理な動きを避けられます。
見通しの良いレイアウトと死角の解消
園内の家具や玩具の配置を工夫し、衝突や転倒を防止しています。
子ども自身が「危ない」を学べるように
危険を伝えるだけでなく、「どうすれば安全か」を一緒に考える関わりを大切にしています。
保護者が知っておきたいケガ対応のポイント
家庭で準備しておきたい応急処置グッズ


登園判断・受診判断の目安
- いつもと様子が違う
- ぐったりしている、食欲がない
- 歩けない・関節が腫れている →このようなときは受診を。医師に登園可否を確認しましょう。
看護師として伝えたいこと
ケガは心配なことではありますが、子どもたちにとっては「学びのチャンス」でもあります。
転んだことでバランス感覚を学び、友だちとぶつかった経験から距離感を覚える…。
そんな「成長のきっかけ」にもなるのです。
私たち大人ができるのは、必要な処置と見守りを行いながら、安心できる環境を整えること。



保育士・看護師・保護者が一つのチームとなって、子どもを支えていけると良いですね。
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