
お盆休みや年末年始、ゴールデンウィークなど、家族で過ごす時間がたっぷりある長期休暇。
でも、休みが終わった朝——「保育園行きたくない!」と泣き出す子どもに直面したことはありませんか?
服を着ない、靴を履かない、玄関から動かない…そんな朝が続くと、送り出す親も心が折れそうになりますよね。
実はこの「登園しぶり」、長期休暇明けには多くの家庭で起こります。
子どもが泣くのはワガママではなく、不安や甘えが一時的に強くなっているサインです。
この記事では、保育園看護師として子どもや保護者に接してきた経験から、泣く子が笑顔で登園できるようになる5つの工夫を紹介します。

ちょっとしたコツを実践することで、朝のバタバタと親子のストレスを減らすことができます!
なぜ長期休暇明けに登園しぶりが起こるのか


長期休暇後の朝、「保育園行きたくない!」という声は珍しくありません。
これは子どものわがままではなく、心と体のリズムが環境に再び適応しようとする自然な反応です。
1. 生活リズムの乱れによる心身の負担
休み中は、就寝・起床時間が遅くなったり、昼寝が増えたりと生活リズムが崩れがちです。
体内時計が乱れると、朝の目覚めが悪くなり、登園時間に体がまだ「休みモード」になっています。
脳も活動スイッチが入りにくいため、意欲や集中力が低下しやすくなります。
2. 家族との密な時間から離れる不安(分離不安の一時的な再燃)
長期休暇中は、朝から晩まで親や家族と過ごす時間が増えます。
この安心できる環境から離れることは、特に2〜5歳の子どもにとって大きな心理的負担です。
発達段階で自然に見られる「分離不安」が一時的に強く出ることもあります。
3. 集団生活への再適応の負荷
保育園では、家とは違うルールや人間関係があります。
「朝の会で座る」「順番を待つ」「友達と協力する」など、社会的スキルを使う場面が多く、休み明けはそれを思い出すだけでもエネルギーが必要です。
4. 甘えの再強化
休み中にたっぷり甘えられた経験は、子どもにとって大切ですが、登園初日には「もっと一緒にいたい」という気持ちが強くなります。
特に年少児や入園から半年以内の子は、この傾向が強くなります。
5. 環境変化による戸惑い
休み明けに保育室の配置や先生の担当、友達のメンバーが変わることもあります。
子どもにとって「いつもと違う」は大きな不安材料であり、登園をためらう理由になります。
6. 成長による感受性の変化
休暇中に心身が成長し、以前は平気だった環境でも敏感に反応するようになることがあります。
成長の証でもありますが、一時的に登園しぶりとして表れることもあります。
泣く子が笑顔になる5つの工夫


1. 朝の準備を“遊び”に変える


- 着替えや歯磨きを「タイマーを使ったチャレンジゲーム」にする
- 「ママより先に靴下履けるかな?」とやる気が入る言葉がけをしてみる
- できたらハイタッチや小さなシールを渡す
→遊び感覚で行動することで、脳内のドーパミンが分泌され、やる気と集中力が自然に高まります。


2. 保育園での楽しみを事前にインプットする


- 前日の夜や朝に「今日は○○ちゃんとブロックできるね」「先生とお花見られるかもね」と話す
- できれば先生にお願いして「今日は○○をしようね」と前もって子どもに伝えてもらう
→人は「これから起こる楽しい出来事」を想像することで、不安を打ち消す効果があります。


3. スキンシップで安心感をチャージ


- 玄関でぎゅっと抱きしめて「今日も頑張れるパワー注入!」と声をかける
- 頭をなでながら「大丈夫、帰ったら○○しようね」と約束する
→肌の触れ合いはオキシトシン(愛情ホルモン)を分泌し、安心感や信頼感を高めます。


4. 親が笑顔で送り出す


- 子どもが泣いていても、親はできるだけ落ち着いて笑顔でいる
- 「ママ(パパ)はお仕事頑張るね、○○も頑張ってね」と短く区切る
→表情は非言語的メッセージとして強く影響し、親の不安顔は子どもの不安を増幅させます。


5. 前日の準備で朝のストレスを減らす


- 前日に服・靴・持ち物を全部セット
- 朝ごはんのメニューを決めておく(簡単なものでもOK)
- 可能なら親も前夜に翌日の段取りをシミュレーション
→朝のバタバタは子どもに「急かされている感」を与え、登園拒否のきっかけになります。
余裕は安心感に直結します。


この5つの工夫は、それぞれ脳科学・心理学的な裏付けがあります。
全部を一度に試す必要はなく、まずは家庭で取り入れやすい1〜2つから始めるといいでしょう。
登園しぶりのときに避けたいNG対応


1. 無理やり引き離す


2. 長すぎるお別れ


3. 脅すような言葉かけ


4. 子どもの気持ちを否定する


5. 大人の焦りをそのまま出す


6. 「休ませる」を安易に選ぶ


これらのNG対応は、親の焦りや疲れからついやってしまいがちです。



でも、避け方と代替行動を知っていれば、あとはちょっと意識するだけ。
予防のためにできる生活リズムの戻し方


1. 休み終盤から“登園時間仕様”に戻す


- 長期休暇の3〜4日前から、起床・朝食・就寝時間を登園時と同じようしてみる
- 休日モードで昼寝や夜更かしが続くと、朝の目覚めがつらくなり、ぐずりやすくなる
→10〜15分ずつ時間を早めていくと、体内時計の負担が少なくてすむ
2. 朝の“登園準備ルーティン”を復活させる


- 保育園バッグを出す、着替えを自分で選ぶ、靴を揃えるなど
- 前日夜から「明日も保育園ごっこしようか」と遊びの延長で準備させる
→行動のパターン化は安心感を生み、登園しぶり予防になる
3. “保育園っぽい”過ごし方を意識する


- 昼食やおやつの時間を園と同じぐらいの時間にしてみる
- 園でよく遊ぶおもちゃや歌、絵本を家で取り入れる
- 可能であれば園のお友達や先生と交流する
→記憶の橋渡し効果で、園生活への再適応がスムーズとなる
4. 身体をしっかり動かす時間を作る


- 午前中に公園遊びやお散歩で太陽光を浴びる
- 室内ならダンスやストレッチで体を温める
→太陽光は体内時計をリセットし、夜のメラトニン分泌を促して入眠しやすくなる
5. 親子で休み明けの話題をポジティブにする


- 「○○ちゃんと遊べるね」「先生に休み中のお話ししようね」とワクワクする話をする
- 「ママもお仕事で新しいことがあるよ」と、自分も切り替えている姿を見せる
→親子で“切り替えスイッチ”を共有できる
6. 前日は“早寝モード”を徹底


- 夕方以降はテレビ・タブレットの使用を控えて、照明も少し暗めにする
- 寝る前に絵本やマッサージなどリラックスタイムを取り入れる
→ブルーライトや刺激的な遊びはメラトニン分泌を妨げる
この流れを休暇の最終3〜4日間で段階的に取り入れるといいでしょう。
保育園の先生に相談してみる
「家では泣くけど、園に着くとすぐ元気になる」という子も多いです。
先生は毎年たくさんの登園しぶりを見ているので、具体的なアドバイスをもらえます。
家庭と園が連携することで、子どもも安心感を得られます。
まとめ


長期休暇明けの登園しぶりは、決して「わがまま」や「甘え」ではなく、環境の変化に敏感に反応する成長の証です。
泣いてしまうのも、行きたくないと言うのも、子どもが自分なりに気持ちを表現しているからこそ。
今回ご紹介した「生活リズムの戻し方」や「笑顔になる5つの工夫」、「避けたいNG対応」を意識すれば、子どもの不安は少しずつ和らぎ、笑顔で登園できる日が増えていきます。
大切なのは、親も子も無理をせず、少しずつ慣らしていくこと。
今日できたことを認め合いながら、休み明けの朝を前向きにスタートできるようサポートしましょう。
そして、泣きながら登園した日でも、迎えに行ったときに笑顔で過ごしていたなら、それは大きな一歩です。
長期休暇明けの登園しぶりは、必ず乗り越えられる壁。



親子で一緒に、小さな「できた!」を積み重ねていきましょう。
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