「またこの季節がきた…」冬に増える感染症たち

毎年、寒くなってくると「また咳が出始めた」「保育園でインフルエンザが流行っている」といった声を耳にします。
冬はRSウイルス、インフルエンザ、ノロウイルスなど、感染力の強いウイルスが一気に広がる季節です。
わが家も息子が保育園に通い始めてからというもの、毎年この季節は感染症との闘い。
一人が風邪をひくと、家族にうつって全員ダウン…なんてことも珍しくありません。
でも、実は「かからないようにする工夫」と「早く気づいて対処する工夫」で、重症化や家族内感染はぐっと減らすことができます。
まいこ@保育園看護師まま看護師ママの視点から、家庭でできる感染症予防と初期対応のポイントをお伝えします。
冬に感染症が増えるのはなぜ?


ウイルスが猛威をふるうのは、寒さや乾燥が大きく関係しています。
気温が下がると空気中の水分が少なくなり、ウイルスが長く生き残れる環境になります。
また、暖房を使うことで室内が乾燥し、鼻や喉の粘膜が弱まり、ウイルスが侵入しやすくなるのです。
さらに、寒い季節はどうしても室内で過ごす時間が長くなります。
人と人の距離が近くなり、飛沫や接触による感染が広がりやすいというのも理由のひとつ。
そしてもう一つ。
年末年始にかけて忙しさや疲れがたまり、睡眠不足や食生活の乱れで免疫力が低下しやすい時期でもあります。
こうした要因が重なり、冬は感染症が一気に増えるのです。
RSウイルス・インフルエンザ・ノロの特徴と症状


冬に流行する代表的な3つの感染症について、症状の特徴を知っておきましょう。
| 感染症 | 主な症状 | 流行時期 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| RSウイルス | 咳・鼻水・ゼーゼー・発熱 | 秋〜冬 | 乳幼児は重症化しやすい。呼吸が苦しそうなときは受診を。 |
| インフルエンザ | 高熱・倦怠感・関節痛・咳 | 冬 | 急な高熱が特徴。ワクチンで重症化を防げる。 |
| ノロウイルス | 嘔吐・下痢・発熱 | 冬 | 感染力が非常に強く、家庭内で広がりやすい。 |
看護師ママのひとこと
RSウイルスは、軽い鼻風邪に見えても、夜になるとゼーゼーと呼吸が苦しそうになることがあります。
「ただの風邪かな」と思っても、呼吸が早い・息苦しそう・哺乳や食事がとれないときは早めの受診を心がけましょう。
家庭でできる冬の感染症予防5つのポイント


① 手洗い・うがいの“質”を高める
感染症対策の基本は、なんといっても「手洗い」です。
特にRSウイルスやノロウイルスはドアノブやおもちゃなどの接触感染でうつることが多いため、こまめな手洗いが重要です。
ただし、回数よりも“やり方”が大切。
石けんを使って、指先・指の間・手の甲・手首まで20秒以上かけて洗うのがポイントです。
「ハッピーバースデーの歌を2回歌う時間」がちょうど20秒ほど。
小さな子には歌いながら洗うのもおすすめです。
うがいは水でも十分効果があります。
喉を潤すだけでも、ウイルスが粘膜に付着しにくくなるためです。
うがいが苦手な子には、「コップの水をぶくぶくして、洗面台に出す」という遊び感覚からスタートしてみましょう。
無理に“完璧”を求めず、「まずはやってみる」習慣づくりが大切です。
② 換気と加湿でウイルスを減らす
冬場は暖房をつける時間が長く、どうしても部屋が乾燥しがち。
しかし、空気が乾くとウイルスは軽くなり、空中に長く漂いやすくなります。
理想の湿度は40〜60%。この範囲に保つことで、ウイルスの生存率をぐっと下げられます。
加湿器がない場合でも、次のような家庭の工夫で十分OKです。
- 洗濯物を室内に干す
- 濡れタオルをハンガーにかける
- お湯を張った洗面器を置く
また、どんなに暖かくしていても、1〜2時間に1回は5分程度の換気を。
寒い日は窓を全開にしなくても、「2カ所の窓を少しずつ開けて空気の通り道をつくる」だけで効果があります。


③ 食事と睡眠で免疫力アップ
ウイルスを完全に防ぐことはできませんが、免疫力を整えることで“うつらない・重くならない”体づくりができます。
免疫力を支える栄養素は以下のとおり。
| 栄養素 | 主な食材 | 効果 |
|---|---|---|
| ビタミンC | みかん、ブロッコリー、いちご | 抗酸化作用で免疫細胞を守る |
| 発酵食品 | 納豆、ヨーグルト、味噌 | 腸内環境を整えて免疫機能をサポート |
| タンパク質 | 肉、魚、卵、大豆製品 | 免疫細胞の材料になる |
「子どもが野菜を嫌がる」という家庭では、みかん・りんごなどの果物からビタミンをとるのも立派な方法です。
朝食にヨーグルトを加えるだけでも腸内環境が整い、感染への抵抗力が上がります。
睡眠も免疫維持の要。
夜更かしが続くと、体が十分に回復できず、感染しやすくなります。
「休みの日も同じ時間に寝る・起きる」という生活リズムの一貫性が、免疫細胞の働きを安定させるコツです。
④ 人混みを避け、マスクを上手に活用
冬はどうしても、ショッピングモールや病院など混雑した場所に行く機会が増えます。
しかし、RSウイルスやインフルエンザ、ノロは飛沫感染が主な経路。
人が多い場所では、咳やくしゃみの飛沫が空気中に広がりやすくなります。
マスクをつけることで、自分の飛沫を周囲に飛ばさない「咳エチケット」になります。
子どもが嫌がる場合は、「マスクをつけて出かけるとヒーローみたいだね」など、遊び感覚の声かけで前向きに。
また、外出後はすぐにマスクを外して新しいものに交換し、手洗いをセットにするのが効果的です。
長時間つけっぱなしのマスクは、逆に菌をため込む原因になるため注意しましょう。
⑤ 予防接種を早めに受ける
インフルエンザワクチンは、接種から効果が出るまで約2週間かかります。
流行が本格化する12月前に、11月中の接種が理想的です。
また、RSウイルスやノロウイルスにはワクチンがないため、インフルエンザ対策が“防波堤”となります。
家庭内での感染を防ぐには、「子どもだけでなく家族全員で接種」するのが効果的。
おじいちゃん・おばあちゃんなど高齢者が同居している場合は特に、早めに予約をしておきましょう。
接種後も油断せず、日々の生活習慣(手洗い・換気・食事・睡眠)と組み合わせることが、感染を遠ざける一番の方法です。
看護師ママからのひとこと
感染症の季節は、どうしても「やらなきゃ」「気をつけなきゃ」と気を張ってしまいがちです。
でも、完璧を目指さなくても大丈夫。
“できる範囲で続ける”ことが、いちばんの予防になります。
手洗いを一緒に歌にしたり、みかんをおやつにしたり——
家族で楽しみながら取り組む工夫が、子どもの「自分で守る力」につながっていきます。
「あれ?おかしいな」と思ったときの初期対応


感染症は「早めに気づいて、無理をさせない」が鉄則です。
休息
発熱や咳、下痢などが出たときは、登園・登校はお休みして体を休めましょう。
熱があっても元気そうならすぐに解熱剤を使う必要はありません。
体がウイルスと戦っているサインです。
水分補給をこまめにする
特にノロウイルスやインフルエンザでは脱水が心配。
経口補水液やお茶を少しずつ、回数を分けて飲ませましょう。
「1回にたくさん」より「一口ずつ何度も」がコツです。
受診の目安
- 息が苦しそう・呼吸が早い
- 高熱が続く・全身がだるそう
- 嘔吐が止まらない・尿が少ない
これらのサインがあるときは、早めの受診を。


家族内感染を防ぐための工夫


嘔吐物の処理は慎重に
ノロウイルスは、わずかな量でも感染力が強力です。
処理のときは手袋・マスクを着用し、ペーパーで覆ってから次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤を薄めたもの)で拭き取ります。
使い終わった雑巾や布は使い捨てが基本です。


タオル・食器の共用はNG
家族で同じタオルを使うのは避け、ペーパータオルや個人用タオルを用意します。
食器やコップはしっかり洗って乾燥させると安心です。
こまめな換気・消毒
ドアノブやスイッチ、リモコンなどは家族全員が触るため、アルコールでこまめに拭くのが◎。
洗面所にペーパータオルを置いておく、使い捨てマスクを多めに常備しておくなど、準備しておくといざというとき慌てません。
登園・登校の目安と回復後の注意


病気が治っても、体力が戻るまでは油断禁物。
無理をさせると、また別の感染症をもらいやすくなります。
| 病気名 | 登園の目安 |
|---|---|
| RSウイルス | 咳・鼻水が落ち着き、元気が戻ってから |
| インフルエンザ | 発症から5日・解熱後2日経過後 |
| ノロウイルス | 嘔吐・下痢が止まり、食欲が戻ってから |
園や学校によって登園基準が異なることもあるため、医師の指示を優先しましょう。
回復期はしっかり睡眠をとり、消化の良い食事を心がけましょう。
看護師ママからのメッセージ


「完璧な予防」より「安心できる環境」を。
子どもが小さいうちは、どんなに気をつけていても感染症は避けられません。
でも、それは悪いことではありません。感染を繰り返す中で、少しずつ免疫がついて強くなっていくのです。
大切なのは、早めに気づき、必要なときに休ませてあげること。
そして、親自身が焦らず落ち着いて対応することです。
看病で疲れてしまったら、家事を手抜きしても大丈夫。
「うつらないこと」より、「重くならないこと」を目指して、家族みんなで冬を元気に乗り切りましょう。
まとめ


- 冬はRSウイルス・インフルエンザ・ノロなどの感染症が流行しやすい季節。
- 手洗い・加湿・睡眠など、家庭での小さな工夫が予防につながる。
- 「おかしいな」と思ったら早めに休ませて、必要なら医療機関へ。
- 家族で感染を広げないためには、環境づくりと気持ちの余裕も大切。



できることを少しずつ積み重ねて、元気に冬を過ごしましょう







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