「はしかって今でもかかるの?」と思うかもしれませんが、麻疹(はしか)は今も世界中で流行している感染症です。
感染力は人類最強クラス。合併症が重篤で、1,000人に1人の割合で脳炎を合併することもあります。
ワクチンで確実に予防できる病気なので、正しい知識を持っておきましょう。
- 麻疹の症状と3つの段階
- コプリック斑とは何か
- 脳炎・SSPEなど怖い合併症について
- 登園の基準(解熱後3日)
- MRワクチンの重要性
麻疹(はしか)ってどんな病気?症状の特徴
麻疹は麻疹ウイルスによる感染症です。空気感染・飛沫感染・接触感染と複数の経路で広がり、免疫のない人にほぼ100%感染するといわれるほど感染力が強い病気です。
💡 潜伏期間は10〜12日です。感染してから症状が出るまで時間があるため、知らないうちに周囲に広めてしまうことがあります。
3つの段階と症状の変化
① カタル期(前駆期)約2〜4日
38℃前後の発熱・咳・鼻水・目の充血など、風邪に似た症状。この時期にコプリック斑(口の中の白い斑点)が出現する。感染力はこの時期からすでに強い。
② 発疹期 約3〜4日
一度熱が少し下がったあと、再び39.5℃以上の高熱が出て発疹が現れる。耳の後ろ・首から始まり、顔・体・手足へと広がる。発疹は赤みが強く融合することがある。
③ 回復期
発疹が引いて熱も下がり始める。発疹のあとに茶色い色素沈着が残ることがある(数週間で消える)。
コプリック斑とは?
コプリック斑は麻疹の特徴的なサインです。発疹が出る1〜2日前に、口の内側の粘膜(ほおの内側)に約1mm大の白い小さな斑点が現れます。これが見つかれば麻疹をかなり疑えます。見慣れていないと気づきにくいため、「高熱+風邪症状」のときは口の中も確認してみましょう。
いつ病院に行く?受診のタイミング
麻疹は感染力が非常に強いため、受診前に必ず電話で「麻疹の疑いがある」と伝えてください。院内感染を防ぐため、別室での対応や時間をずらした受診を求められる場合があります。
受診の目安
- 高熱+咳・鼻水・目の充血が続いている
- 口の中に白い斑点がある(コプリック斑)
- 体に赤い発疹が広がってきた
- 麻疹の流行地域に行った・感染者と接触した
- ワクチン未接種または1回しか接種していない
⚠️ すぐ受診が必要なサイン
・呼吸が苦しそう(肺炎の可能性)
・ひどい頭痛・けいれん・意識がおかしい(脳炎の可能性)
・ぐったりして反応が乏しい
これらのサインは重篤な合併症のサインです。すぐに救急を受診してください。
自宅でできるケアのポイント
① 安静と水分補給
高熱が続くため、体をしっかり休ませましょう。こまめな水分補給が大切です。食欲がなければ無理に食べさせなくてOKですが、水分だけはしっかりとりましょう。
② 目のケア
目が充血してかゆみや目やにが出ることがあります。清潔なガーゼで優しく拭いてあげましょう。眩しがる場合は部屋を少し暗くしてあげると楽です。
③ 発熱のケア
アセトアミノフェン(カロナールなど)で発熱をコントロールしましょう。高熱が続くと体力を消耗するため、つらそうなときは解熱剤を使ってください。
怖い合併症について
麻疹は「軽い病気」ではありません。重篤な合併症を起こすことがあります。
⚠️ 主な合併症
・肺炎
麻疹の死亡原因のひとつ。高熱が続いて呼吸が苦しくなる場合は要注意。
・脳炎(1,000例に0.5〜1例)
回復期に突然けいれん・意識障害が起きることがある。後遺症が残る場合も。
・中耳炎(約7%)
耳の痛みが出た場合は耳鼻科への受診を。
・SSPE(亜急性硬化性全脳炎)
乳幼児期に麻疹にかかると、平均7年後に発症する重篤な脳の病気。ゆっくり進行し、治療法はない。約10万人に1人の頻度で発症する。
治療薬について
麻疹には特効薬(抗ウイルス薬)がありません。治療は対症療法が中心です。細菌による合併症(肺炎・中耳炎)が起きた場合は、抗菌薬が使用されます。
- 発熱・倦怠感にはアセトアミノフェン(カロナールなど)
- 安静・水分補給
- 細菌性合併症(肺炎・中耳炎)には抗菌薬
- 重症の場合は入院が必要なことも
登園の基準|いつから保育園に行っていい?
学校保健安全法施行規則 第19条(出席停止の期間の基準)
解熱した後3日を経過するまで
解熱した日は0日目。翌日から1日・2日・3日と数えます。
日数の数え方(例)
- 月曜日に解熱を確認 → 月曜日は0日目
- 火曜日=1日目、水曜日=2日目、木曜日=3日目
- 金曜日から登園OK(全身状態が良好であれば)
💡 麻疹は医師の登園許可証(意見書)が必要な疾患です。「熱が下がった」と保護者が判断するだけでなく、医師に確認してもらってから登園させましょう。
ワクチンで予防できる?
麻疹はMRワクチン(麻疹・風疹混合)の2回接種で確実に予防できます。2回接種での免疫獲得率は97〜99%以上と報告されています。
- 1期:1歳(定期接種・無料)
- 2期:小学校入学前1年間(5〜6歳・定期接種・無料)
- 2回接種でほぼ確実に予防できる
- 1回だけでは免疫が不十分な場合がある
⚠️ 2026年現在も国内で流行中です
麻疹は2026年に入っても国内で感染者が報告されています。特に10〜20代のワクチン未接種・1回接種の方が感染しています。お子さんの接種歴を母子手帳で確認し、2回接種が済んでいるか確認しましょう。
日頃の予防方法
- MRワクチンを2回きちんと接種する(最重要)
- 母子手帳で接種歴を確認する
- こまめな手洗い
- 流行地域への渡航前は接種歴を確認する
- 感染疑いの人との接触を避ける


まとめ
- 麻疹は感染力が極めて強く、免疫のない人にほぼ100%感染する
- カタル期→発疹期→回復期の3段階で進む
- コプリック斑(口の中の白い斑点)が早期診断のカギ
- 特効薬はなく対症療法が中心。脳炎・肺炎・SSPEなど重篤な合併症に注意
- 登園基準は「解熱後3日を経過するまで」
- 医師の登園許可証が必要な疾患
- MRワクチン2回接種で確実に予防できる。2回接種を必ず確認しよう
参考文献・根拠法令
学校保健安全法(昭和33年法律第56号)第19条、同施行規則第18〜19条
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版・2023年5月一部改訂)
国立健康危機管理研究機構(JIHS)「麻しん(詳細版)」
厚生労働省「MRワクチン」
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さんの症状や状態については、必ずかかりつけ医にご相談ください。

